教授挨拶

東北大学消化器内科 科長 下瀬川徹

学生、研修医の皆さんへ

医学生の皆さん、研修医の皆さん、こんにちは。東北大学消化器内科科長の下瀬川です。このたび、教室員の努力によりまして私たちの診療科でも独自のホームページを立ち上げることになりました。以前から計画していたのですが、今回急遽この企画を実行した背景には、医学教育や医療を取り巻く環境が激しく動いており、私たちも大学の研究や診療内容についてなるべくリアルタイムで皆さんに情報をお伝えしたい、そうしなければいけない、と感じたからです。

このホームページの内容をみてご理解いただけますように、私たちの診療科は伝統的に若手医師の臨床修練と教育を最も大切にし、研究面でも臨床に役立つような研究を第一主義としてきました。大学院医学研究科の消化器病態学分野に対応した診療科ですから、医局構成員の約2/3に相当する40数名が大学院生として研究活動を行っています。しかし、大学院生の場合であっても、各人の希望にあわせて研究テーマを決めており、8割以上の大学院生が臨床研究によって学位を取得しています。「研究と臨床が良いバランスを保ち、両者が緊密に関連した臨床医学の実践」を目指しています。従って、大学院生の多くが大学院在学中、あるいは大学院卒業直後に日本内科学会、日本消化器病学会、日本消化器内視鏡学会をはじめとする関連学会の認定医、専門医の資格も取得できるように指導してきました。

教室を主催する立場で、私が初期研修、大学院での研究や大学院卒業後の臨床修練について日頃感じていることを皆さんにお伝えしたいと思います。

2004年に「初期研修の必修化」が始まり、さまざまな社会問題や議論を呼び起こしています。臨床医としての最初の一歩である初期研修期間は、医師としての将来像まで決定しかねない、大変に重要な2年間です。この時期に医療全般を広く経験することは意義深いことです。ただし、臨床は真剣勝負であることを忘れてはいけません。最初の医師の判断、最初の医師の行動が患者さんの運命を決定する可能性を自ら体験し、実感できる研修が必要です。形式にとらわれず、自ら考え、行動できる能動的な研修が必要であると考えています。患者さんを目の前にして素早く、的確な対応がとれる医師でなければ臨床医として十分とはいえません。そのためには、優れた人格、広い知識、多くの経験と行動力を持ったよい指導医にめぐりあい、そのもとで多くの症例を経験することです。

昨今の大学離れは急速で、本学でも、将来、学位はいらない、専門医さえあればよいと考える学生が時々見られるようになりました。医師過剰時代を迎え、専門医や認定医を取得することは評価される医師として大切な要素になるかもしれません。しかし、これらの資格授与にあたっては筆記試験のみのものから、実技や厳しい口答試問を科すものまで学会によって大きな格差があります。つまり、学会の取り組み方、方針でいかようにでも変わりうるものであり、私はむしろ、専門領域の医師としての一定の水準を確認するチェック機構ととらえています。大学でこのような資格がとれない、あるいは、とりにくいということは全くありません。

一方、大学院での研究生活は、臨床医として生涯過ごしていくうえで必要な知識を鍛える期間、医師としての考え方、症例に向き合う姿勢などを深める重要な過程と考えています。医学の知識だけでなく、医療技術や機器が大変なスピードで進化している現代社会、このよう傾向が一層加速されるであろう将来においても、医師として時流に遅れずに進化し続けていくための基礎を与え、症例に悩んだときに立ち返る基盤を形成する大切な4年間です。臨床医も自然科学者の側面を持っています。過去の歴史を振り返って、研究生活で培われた広い知識と深い探究心を持ち続け、開業後も臨床医学面での重要な発見をされた先人が数多くいることを皆さんは良く知っているはずです。初期研修を終えてから、あるいは後期研修のある時期に、是非、大学での研究生活を経験していただきたいと思います。

私たちの分野、診療科では、初期研修を終えてから1~2年間消化器の専門領域で臨床の研鑽を積んだ後に、大学院に入学したり、大学院研究生として臨床と研究を継続する方が大多数です。私は、大学院卒業後は基本的には大学の関連する基幹病院で、もう一度、臨床一般あるいは消化器領域全般を勉強しなおす期間を持てるようにしています。大学院の4年間で臨床レベルが落ちてしまうと心配される方もいらっしゃるようですが、心配ありません。

大分、長い挨拶になりました。私が普段考えていることから、教室の雰囲気が少しでも感じ取っていただけますと幸いです。私のこのような考えを実践できる優秀なスタッフが消化器内科には多数います。初期研修医として、大学院生として、あるいは後期研修や臨床修練を希望して、どのような形での参加も歓迎します。皆さんと新しい消化器領域を開拓できることを希望して、私の挨拶と致します。

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