炎症性腸疾患の増悪因子はまだ不明な点が多く、不眠や精神的ストレスの関与が疑われていましたが、はっきりしたことはわかっていませんでした。
今回、当科に通院中の炎症性腸疾患の患者さんを対象に、ピッツバーグ睡眠質問票を用いた睡眠状況に関するアンケート調査を行いました。質問票の結果をもとに対象患者さんを慢性不眠の有無で2群に分け、経過観察を行いました。慢性不眠を有する群で炎症性腸疾患（特に潰瘍性大腸炎）の治療強化・変更を要した割合が有意に高い結果でした。
多変量解析や治療医継続率に関する生存曲線でも同様の結果であり、慢性不眠が炎症性腸疾患、特に潰瘍性大腸炎の増悪に関与している可能性が示唆されました。
本研究は大山先生の学位のデータの一部になります。大山先生、ご苦労様でした。（諸井）
 
Chronic poor sleep is associated with increased disease activity in patients with ulcerative colitis: Prospective observational study in Japan.
 
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39052880/
 
J Crohns Colitis. 2024 Jul 25:jjae116. doi: 10.1093/ecco-jcc/jjae116. Online ahead of print.
PMID: 39052880