クローン病の長期予後を改善するため、内視鏡的寛解を目指すことが重要だとされています。一方で、内視鏡検査は侵襲が大きいため、バイオマーカーがその代替となりえます。日本人クローン病を対象とした本研究において、既存バイオマーカー（血清CRP、血清アルブミン）と新規バイオマーカー（欧米で重用される便中カルプロテクチン、本邦発の血清LRG）が内視鏡的寛解とよく相関することが示されました。また、治療の早い段階から、バイオマーカーがのちの内視鏡的寛解の予測因子となり得ることが示唆されました。既存バイオマーカーに特異度の高い新規バイオマーカー（現在の保険適応は3ヶ月に1回）を組み合わせることで、治療を最適化しやすくなり、予後の改善に繋がることが期待されます。博士課程のテーマとして取り
組んでくれた阿部先生とご協力頂いた先生方に感謝申し上げます。（志賀）

Original article: Serum leucine-rich alpha-2 glycoprotein as a predictive factor of endoscopic remission in Crohn’s disease.
Abe I, Shiga H, Chiba H, Miyazawa T, Oomori S, Shimoyama Y, Moroi R, Kuroha M, Kakuta Y, Kinouchi Y, Masamune A.
J Gastroenterol Hepatol. 2022 May 31. doi: 10.1111/jgh.15907. Online ahead of print.
PMID: 35641439