東北大学 消化器内科

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当科の正宗淳教授らによる慢性膵炎の全国疫学調査の結果が、Journal of Gastroenterology に掲載されました

2026.09.13

慢性膵炎は、膵臓に持続的な炎症が起こることで、膵臓の組織が徐々に線維化し、消化機能や血糖を調節する機能が低下していく病気です。進行すると、膵石や膵管狭窄、糖尿病、膵外分泌機能不全などを合併することがあります。また、膵がんのリスク因子としても知られています。

わが国では、1990年代から定期的に慢性膵炎の全国疫学調査が行われており、前回は2016年に診療された患者さんを対象として実施されました。今回、当科の正宗淳教授らは、日本膵臓学会の支援を受け、2021年に全国の医療機関で診療された慢性膵炎患者さんを対象とした全国疫学調査を実施し、その結果が Journal of Gastroenterology に掲載されました。

本研究では、2021年における日本の慢性膵炎患者数は推定73,590人、有病率は人口10万人あたり58.6人と推計され、2016年の調査と比較して患者数が約30%増加していることが明らかになりました。また、年間の新規診断患者数は17,490人、人口10万人あたり13.9人と推定されました。

さらに、4,633例の詳細な臨床情報を解析した結果、慢性膵炎の原因としてはアルコール関連が69.6%と最も多く、特に女性ではアルコール関連慢性膵炎の割合が39.5%と、これまでの全国調査で最も高い値を示しました。また、糖尿病や膵外分泌機能不全を高率に合併していました。膵石や膵管狭窄に対して治療を受けた患者さんでは、92.8%で内視鏡を用いた治療が初回治療として選択されていました。さらに、18.0%の患者さんに何らかの悪性腫瘍が認められ、そのうち89例に膵がんを認めました。

今回の全国調査により、日本では慢性膵炎患者が増加していることに加え、患者の高齢化や女性におけるアルコール関連慢性膵炎の増加といった疫学的変化が明らかになりました。また、糖尿病や膵外分泌機能不全、悪性腫瘍などの合併への対応が、今後の慢性膵炎診療における重要な課題であることも示されました。

本研究は、日本における慢性膵炎の最新の疫学情報と診療実態を明らかにした全国調査であり、今後の慢性膵炎の予防、診断、治療、長期管理のさらなる向上につながることが期待されます。

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