NUDT15遺伝子検査はチオプリン製剤による副作用の予測や治療最適化に有用であり、２０１９年２月に世界に先駆けて日本で実用化されました。チオプリン製剤による治療を初めて行う患者での事前のNUDT15遺伝子検査が保険適応となり、その検査の実態や、検査の有無による治療継続率や入院率を比較した研究です。本研究からは、この遺伝子検査が炎症性腸疾患の患者では高率に行われている一方で、それ以外の領域では事前の検査率があまり高くないことや、検査をした場合の治療継続率が検査をしていない場合より有意に高く、治療導入後の入院率も有意に低いことが示されました。本検査は、当科が中心となって実用化した検査であり、その臨床的な有用性がリアルワールドデータをもとに示されました。（角田洋一）

Usefulness and difficulties with the thiopurine pharmacogenomic NUDT15 genotyping test: Analysis of real-world data in Japan.
Kakuta Y, Kato M, Shimoyama Y, Naito T, Moroi R, Kuroha M, Shiga H, Kinouchi Y, Masamune A.
J Pharmacol Sci. 2023 Nov;153(3):161-169. doi: 10.1016/j.jphs.2023.09.002. Epub 2023 Sep 11.
PMID: 37770157