医局NEWS

志賀永嗣先生による炎症性腸疾患患者における麻疹・風疹などのウイルス抗体価に関する論文がScand J Gastroenterol.誌に掲載されました

2022.10.14

免疫抑制療法(チオプリン製剤や分子標的薬)を行なっている患者では感染症のリスクが高いため積極的なワクチン接種が望まれる一方、生ワクチンの接種は禁忌となります。しかし本邦では、生ワクチンを要するウイルス(麻疹・風疹・流行性耳下腺炎・水痘ウイルス)の罹患歴やワクチン接種歴を免疫抑制療法前にスクリーニングすることはありませんでした。そこで、すでに免疫抑制療法を行なっている炎症性腸疾患患者を対象としてウイルス抗体価を測定し、東北メディカルメガバンクの健常人の抗体価と比較しました。その結果、健常人と比較して炎症性腸疾患患者では抗体陽性率が低いこと、免疫抑制の程度(単剤/併用)では差がないことを示しました。炎症性腸疾患患者には抗体陰性例が一定の割合で含まれることを念頭に
  免疫抑制療法の開始前(理想的には診断時)にスクリーニングすることが重要と考えられます。この研究にご協力頂きました先生方に、この場を借りて御礼申し上げます。(志賀)

Reduced antiviral seropositivity among patients with inflammatory bowel disease treated with immunosuppressive agents.
Shiga H, Takahashi T, Shiraki M, Kojima Y, Tsuji T, Takagi S, Hiramoto K, Yokoyama N, Sugimura M, Iwabuchi M, Endo K, Onodera M, Sato Y, Shimodaira Y, Nomura E, Kikuchi T, Chiba H, Oomori S, Kudo H, Kumada K, Nagaie S, Ogishima S, Nagami F, Shimoyama Y, Moroi R, Kuroha M, Kakuta Y, Ishige T, Kinouchi Y, Masamune A.
Scand J Gastroenterol. 2022 Oct 12:1-8. doi: 10.1080/00365521.2022.2132831. Online ahead of print.
PMID: 36222610

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